伊井白山神社本殿　附　棟札3枚

伊井白山神社は、伊井地区伊井区の南東に位置しています。創建は不明ですが、寛保2年(1742)に白山大権現を勧請しており、祭神に伊弉冊尊(いざなぎのみこと)を祀ります。

本殿は、入母屋造(いりもやづくり)、杮葺(こけらぶき)、平入(ひらいり)の建物で、全体として組物や板壁などに、龍や天女、中国の故事の場面などの彫刻を多用し、装飾しています。

この本殿は、棟札により文化3年(1806)の建築で、伊井を拠点に活動した伊井大工の手によるものです。伊井大工は、江戸時代から近代にかけて、現在のあわら市や坂井市など嶺北地方を中心に活躍しました。

このように、伊井白山神社本殿は、多種多様な彫刻装飾が施され、江戸時代後期の県内寺社建築の特徴をもつ代表的な事例であり、あわせて伊井大工の優れた建築技術を伝える事例としても貴重です。