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本荘の殿さま、堀江石見守一族のおもしろい「3枚のうろこ」伝説


堀江一族の伝説「3枚のうろこ」紙芝居

 本荘公民館職員が「朝倉始末記の堀江七郎景重之事」話を面白くわかりやすいように紙芝居を制作しました。

 初代景経と二代目景重にまつわる「蛇身の子」の伝説です。

 むかしむかし、今から約600年前、一乗谷城主初代朝倉敏景に属し武功によって二千五百貫を賜り、坂井郡一帯を支配して、本荘地区に館を構え、勢力のあった堀江一族がありました。
  

一幕

 堀江左衛門景経は風流人で、たいへん笛がうまく、毎夜、彼が吹く美しい笛の音に、付近の人たちは胸をときめかせていました。
 ある夜も、月に乗じて人里離れた鴫ガ縄手へ出て、笛を吹いていました。

  二幕

 すると、この世の人とは思えないほど美しく、年のころなら28ばかりのあたりも光輝く女が現れ、景経に寄ってきて話がありそうな様子でした。館近くに池があり、住んでいた蛇がすっかり景経に見せられて、何とかして関心を買おうと、美人に身を変えて彼の前に現れたのです。
 なにか訳がありそうに見えて、立ち振る舞いがしとやかで美しくなまめかしい、こんな田舎に美人がいるかと景経は驚きました。 それで景経は「何者か」と尋ねました。
 女が言うには、
 「わたしは決して怪しい者ではありません。わけのある身でございます。父母はいまはなく、頼る人とてなく、よりべのない浮身の体でございます。」
 「お誘いいただければ、どこへなりともまいります。」
 「前から、笛をお聞きしていましたが、昼は人目が恥ずかしく、今まであなたさまの前に出ませんでした。」
 「今宵は思いの丈を存分に申し上げたいと思いまして、笛の音を頼りに参った者でございます。」
 景経も岩木の朴念仁ではないので、心が動きその女を自分の館に連れ帰って寝起きを共にしました。 
 

三幕

 その振る舞いに気をつけてみると、事情ある人と見え、物腰がやさしく、後に夫婦の好みを結び、共に暮らすようになりました。
 そうこうしているうちに、その女が言うには、
 「私はすでにあなたの子を宿しています。そして月も過ぎていますので、新しい産所を建ててくださいませんでしょうか。」
 女はさらに、
 「事情があって産所を太く強く、四方の板をすきまなくし、そのまわりに柵を作り、人が近づかないよう申し付けてください。」
 景経は、
 「遠慮することはない、お前の子を思う気持ちを考えれば、新しい産所で安心して生むがよい。」  

四幕

 女が言うには
 「自分がどうなっても子が生まれれば、この世の因縁は残らないでしょう。生まれる子が男の子であれば、この旗を母の形見だと言って子どもに見せて欲しい。女の子であれば、肌の守りになるでしょう。」
 「この紋は、私の父の家に伝わる霞の旗といい、蛇の目の八つの紋のついた旗です。」
 「戦いのときにこの旗をさして進めば、いかなる強敵が向かってきても負けることはありません。」
 さらに女が言うには
 「月も満ちお産も近いので、私はこれから産所に入ります。今日より七日の間は、決して人を近づけないでください。人の音も近づけてはなりません。」 
 「無事お産を済ませたら、内より声をかけます」と言って、産所のへ入って行きました。
 

五幕   

 景経は、これはあまり聞いたことのない話だと、不審に思って、約束の7日を待たないで、6日の夜秘めやかに忍び寄って、静かに板をはがして産所の中を見てしまったのです。
 するとそこには、世にもみたことのない怖ろしい大蛇の姿がありました。
 

六幕

 眼は太陽か月のように輝き、鉄の角を振り立てて、真紅の舌を出し、赤子のうろこを舐め落としているではありませんか。
 景経は、身の毛もよだつ恐ろしさで「アッ」と声を上げました。
 母の大蛇は、外から見られていると気がつき、急に眼を開き大変な怒りようで、天地も割れるばかりにどよめき泣きわめきました。
 「夫と離れ、可愛い子と別れる女の身にとって、これほど過ぎた不幸はありません」。
 「後の世に、憐れみを思う女の人がいるならば、私のことを思い出してください。」と言って、たちまち産所を踏み破って飛び去っていきました。
 

七幕

 景経は大声を出して、
 「たとえ大蛇であっても、子どもまでできたのだから、ここから出ていくことはない。」と差し招きました。
 龍女は後ろを振り返り向いて、
 「近江湖水の竹生島の辺りに留まり、代々堀江家を守ります。」
  「湖水にて水難に遭う者があれば、本庄の者だと言えばお救い申し上げます」と言って、去って行きました。

八幕

産所の跡を見ると、玉のような男の子が残されていました。
この子にはどうしたことか、脇の下に3枚のうろこがついていました。
景経は、その子を連れて帰り、大事に育てました。 

九幕

 そして成人すると堀江七郎景重と名乗り、朝倉四代孝景に従い、たくさんの戦いに勝って、立派な武将に成長しました。
 これ以来、堀江家の家督になる人は、どの人も必ず脇の下にうろこ形のあざが3つ、そのほかの嫡子には、あざのようなうろこのしるしがあったと言われています。

 えちぜん鉄道本荘駅から北側の県道を西へ15分、公民館東に隣接する龍雲禅寺は、堀江家の菩提寺であり、石碑に3枚のうろこの家紋も彫られています。また、五輪塔は、更に西へ10分本荘小学校体育館左横に安置されています。

このような話と同じような、本荘中番の大沢山龍雲寺に「龍雲寺縁記」として伝わっていいて、話の終わりのところが次のように変えられています。龍雲寺の開基は、延徳3年(1491)です。
「畜生(大蛇)と淫せし者は永劫に悪童に落つ、と言われていたので、龍雲寺を建立し、大供養をして殿さまの罪を消した」

また、龍女の話に関連して、次のような伝説があります。


問い合わせ先
本荘公民館
電話:0776-78-5874

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